私は30代の会社員で、これから副業や起業に挑戦してみたいと考えて、少しずつ勉強を続けています。
この記事はそのアウトプットの一環で、専門家ではないので高い知識の共有ではなく、調べた情報を噛み砕いて分かりやすく共有するスタイルです。
結論を先に。
米Business Insiderに載った実録記事を読んで、私が一番刺さったのは「AIエージェントは、調べものの延長ではなく、仕事を任せられる“同僚”になり得る」という点です。
しかも舞台は起業したばかりの1人事業。副業や起業を準備している人間にとって、これは「最初の従業員を、ほぼ時給ゼロで雇える」という話として読めました。
1.元ネタ ── 1週間でAIは「同僚」になった

米Business InsiderのAIニュースレター「AI Insider」(2026年10月2日付)に、起業家が新しいAIエージェント「Instinct」を1週間使った記録が載りました(日本語版ビジネスインサイダージャパンでも紹介されたものです)。
主人公はドニー・ゴインズ(Donnie Goins)さん。
ソフトウェア開発を数十年、テック企業を売却した後、ゴルフのパッティング練習器具メーカーPuttEZを立ち上げた、いわば"手慣れた人"です。
すでにGeminiとPerplexityの有料ユーザーでもあり、決してAI初心者ではありません。それでも、Instinctには驚いた、という話です。
試したInstinctというのは、米サンフランシスコのスタートアップが作った個人向けAIエージェントで、アプリを入れずにSMSや電話で「友達にメッセージを送る感覚」でお願いすると、作業を実行までやってくれるもの。
創業者は23歳のノア・シン(Noah Shinn)氏で、2026年8月に招待制で始まり、ユーザー数は10万人を超え、評価額は約1カ月で25億ドルから100億ドルに急騰したと報じられています(あくまで報道ベースの情報です)。
ゴインズ氏が1週間で任せた仕事は、こんな感じでした。
- サイトの見直し: 依頼したら数分でフィードバックが返り、問題を見つけた上で文章の書き直しまで済ませてきた。提案の通りにサイトを更新したら、メッセージが明確になった。
- SNSアカウント開設: 後回しにしていたInstagram、TikTok、YouTube、Facebook、LinkedIn。優先順位の提案、プロフィール文・ハッシュタグの作成、開設作業の一部代行と残りの手順案内まで。
- 動画まわり: 解説動画のサムネイル改善、タイトル作成、長い動画をSNS向けの短いクリップに切り分け。顧客の推薦動画は5,000回再生を超えた。
- 毎朝のレポート: パッティングに関するネット上の話題を毎朝まとめ、返信案まで作成。お願いしていないのに「Redditも見るべき」と提案してきた。
- 運営まわり: 関税の分類を確定させる米国税関の正式な申請で、書類のほとんどを記入し、裏付け写真まで集めて申請書を準備。ゴインズ氏の見積もりで「何時間も節約」。約600台の製品輸送に使う業者(フォワーダー=貨物をまとめて運ぶ窓口業者)の比較も。
「Instinctには、私が細かく指示しなくても実行する“本能”がある。とても印象的だ。なぜこの名前を付けたのか、いまならわかる」── ドニー・ゴインズ氏(実録記事より)
2.学び① AIとの付き合い方は「聞く」から「頼む」へ
元記事を読むまで、私の中でAIというと「質問したら答えてくれる賢い検索」くらいの認識でした。職場でも資料探しや文章の下書きで使っていますが、それは毎回「窓口に聞きに行く」使い方です。
記事で紹介されていたのは、もう一つの使い方でした。
- これまでの使い方(チャットボット): 窓口に聞くように「これ、どう思う?」「〇〇って調べて」と質問する。答えてくれるのは聞いたことだけで、1回聞いて、1回答えて、終わり。
- 記事で紹介されていた使い方(AIエージェント): 同僚にお願いするように「この資料、直しておいて」と頼む。すると自分で調べて、手を動かして、できあがったものを報告してくれる。返ってくるのは「回答」ではなく「完成品」。
会社に例えるなら──「研修資料、どこにあります?」と聞いて教えてくれるのが窓口。「資料を最新版に差し替えておきました」と、確認したらもう終わっているのが同僚です。
表にすると、こうです。
| お願いの仕方 | チャットボット(窓口) | AIエージェント(同僚) |
|---|---|---|
| 言い方の例 | 「これ、どう思う?」 | 「これ、直しておいて」 |
| 返ってくるもの | 質問への回答 | 成果物そのもの |
| 関係 | その都度頼む | 「持ち場」を持って続けてくれる |
同じAIでも「聞きに行く」のか「任せる」のかで、返ってくるものの大きさがまったく違う。これが元記事から得た1つ目の学びです。
ちなみにこれ、個人の感覚の話だけでもないらしいです。世界的な調査会社Gartnerの予測では、2028年までに日常業務の意思決定の15%以上をAIエージェントが担う見込み(2024年時点ではほぼゼロ)。つまり「この先2〜3年で、AIへの頼み方が今とは変わる」と考えてよさそうです。
3.学び② 頼んでいない提案をしてくれる ── 「どうやるか」より「何のためか」を先に伝える
実録を読んでいて、私が一番「おっ」となったシーンです。
主人公が任せたのはSNSの運用でした。すると、お願いしていないのにAIの方から「あのSNSは動きが少ないので、話題の集まる掲示板サイト(Reddit)も見るようにしたらどうですか」と提案が来た。主人公も「これは頼んでいなかった」と書いています。
ここからは2つ学びました。
1つ目は、AIが「頼まれたことだけやる部下」から、「目的を理解して自分から動く同僚」に変わってきているということ。主人公の言葉がそのままです。
「PerplexityやGeminiは、答えるべき質問を提示してくれるかもしれない。しかしInstinctは、私たちがより成功するにはどう手助けすればいいのかを本当に理解しているようだった」
2つ目は、これを自分の仕事に活かすなら、頼み方を変える必要があるということ。細かい手順を順番に説明するより、先に「何のためにやるか(目的)」を伝えたほうが、相手は自分で考えて動ける。これはAIに限らず、職場で人にお願いするときにもそのまま使える話でした。
4.忙しい会社員が明日から使える5つの心得
ここからが本題です。育児で手が離せない時期は「勉強する時間そのものがない」ので、私は「どう頼むか」から学ぶのが一番早い、と思っています。実録から拾った5つです。
① 「質問」を「発注」に変える
「確認して」ではなく「直した状態で出して」。返信ドラフトなら「返信文のまま書いて」。返ってきたものを読んで判断するだけで済む形にすると、限られた時間が「読む時間」だけで終わります。
② 後回しタスクを1つ、丸ごと預ける
SNSアカウント開設のような「やるべきと分かっているのに、子どもが寝たら疲れて何カ月もそのまま」のタスク。リストから1つ選んで、全部お願いしてみる。成果物だけ確認すればいいので、着手コストがほぼゼロです。
③ 続けたい作業は「毎朝のお願い」にする
実録で一番決定的だったのが「毎朝のレポート」。毎日頼むのではなく、曜日と時間を決めて頼むと、収集が習慣になります。朝の通勤や朝食のあとに読むだけでいい形です。私は毎朝の業界ニュースまとめから試してみる予定です。
④ 提案の確認は「週1まとめ」でいい
お願いしていない提案(Redditを加えるべき、など)は有り難いけれど、毎日チェックする時間はありません。週に1回、まとめて見る「受け口」だけ作っておく。全部呑む必要はない、と実録も自分も判断。
⑤ 「うそ」と「社内データ」に線を引く
AIは時々、もっともらしい間違い(ハルシネーション=それっぽい嘘)を言います。数字や固有名詞は自分で確認。また実録でも、メールやカレンダーとの連携は「プライバシーを検討中」として有効化していません。会社員の場合、社内の情報をどこまで渡すかは、自分で線を引いておくのが大事だと思います。
5.副業・起業を考えている人にとっての話
この実録を「起業した人の話」で終わらせるのがもったいないと思っています。PuttEZのエピソードは、起業直後に1人で回す業務を、最初からAIに任せた実例だからです。
- 副業の限られた時間を「調べもの」ではなく「検収と判断」に使える。
- BCGの調査では、日本のAIエージェント活用率は7%と世界平均より低い。今から触っておくと、周りより先に感覚を掴めます。
- 日本生産性本部によると日本の労働生産性はOECD38カ国中28位。時間を増やせない人間は、「1時間の産出量」を上げるしかない、ということです。
私はまず、副業の準備で後回しにしていたタスクを1つ、丸ごとAIにお願いしてみます。小さく始めるのが、続けるコツだと思っています。
6.まとめ ── 「勉強の時間」を増やすより「頼み方」を変える
育児で時間が取れない時期は、「勉強の時間を確保する」より「学びたいことと、頼めるものを仕分ける」ほうが効きます。実録のゴインズ氏も、AIが答えを返してくれたことより、「同僚」として扱ったことで自分の時間を本来注ぐ場所に戻せたことが変化でした。後回しにしているタスクを1つ、丸ごとお願いする──私もそこから始めます。同じ状況の方の参考になれば嬉しいです。
おわりっ。